ナフサの供給量・在庫の推移(月次)
日本国内のナフサ(石油化学用ナフサ・その他用ナフサ)について、生産・受入・出荷・月末在庫の 月次推移を公的統計をもとにまとめた参考データです。単位は kl(キロリットル)。 最新は 2026-04 分のデータを掲載しています。
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月末在庫の推移
供給フロー(生産・受入・出荷)の推移
※ ナフサは国内生産に加え輸入(受入)が供給の大きな割合を占めるため、出荷量が生産量を上回る月があります。 受入・出荷の系列は 2024-12 分まで(後述)。
需要は満たされているか(供給・需要・在庫日数・価格)
「需要に対して供給が足りているか」を見るには、在庫の水準だけでなく、供給と需要のバランス、 在庫が需要の何日分あるか(在庫日数)、市場の逼迫を映す価格をあわせて見るのが有効です。
供給(生産+輸入)と需要(国内向販売+輸出)のバランス
2本の線がほぼ重なっていれば、供給と需要が釣り合っている状態です。差の分だけ在庫が増減します。 (2025年1月以降・経済産業省「石油統計速報・確報」の需給概要ベース)
在庫日数(在庫は需要の何日分か)
月末在庫を月間の需要(払出)で割った日数。最新(2026-04)は約 14.1 日分。 ナフサは回転の速い原料で、この水準が大きく崩れていないかが供給の安定をみる目安になります。
ナフサ輸入価格の推移
供給が需要に対してタイトになると価格が上がりやすくなります。需給を映す市場シグナルとして併記します。 最新は 2026-04 分まで掲載しています。 最新月は速報値(確報前)のため、後日の確報で改定される場合があります。
輸入価格データの出所と接続について:ナフサ輸入価格(CIF・円/kl)は、2024年3月分までを政府統計の総合窓口(e-Stat)『石油輸入価格推移』、2024年4月分以降を財務省『貿易統計』の通関実績から取得して接続しています。いずれも財務省貿易統計に基づく公的データで、出典明記のうえ掲載しています。なお最新月は速報値(確報前)であり、後日の確報で改定される場合があります。
2026年春のナフサ価格上昇の背景(公的情報ベース)
2026年に入ってからの輸入価格の上昇局面では、中東情勢を踏まえた海外調達環境の変化に加え、 国内で「供給の偏りや流通の“目詰まり”」が生じていると経済産業省が認識を示しています。 経済産業省は燃料油・石油製品の 供給に関する情報提供の受付窓口 を設けたほか、 業界代表者との会談 で、系列や取引実績にとらわれない柔軟な供給対応や優先度の高い用途への供給維持を要請。 数量面では国産精製の継続と中東以外からの輸入拡大により「年を越えて継続できる見込み」と説明しています (資源エネルギー庁:中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応)。
一部には特定の事業者による買い占め・価格つり上げを指摘する見方も報じられましたが、 政府として特定の事業者の関与を公式に認定・公表したものではありません。 SNS等で出回る「買い占め業者」の社名特定は裏付けのない憶測を含むため、本ページでは扱いません。 公的に確認できる事実関係は上記の出典でご確認ください。
関連する動きとして、石油元売各社で構成される業界団体・石油連盟(PAJ)は 2026年3月24日、石油製品の在庫量データ(週次)の開示を一時見合わせると公表しました。 同連盟は理由として、中東情勢を背景とした国内の供給構造の変化により、従来の手法では精度の維持が難しくなった点を挙げています。 これは上記の国内流通をめぐる議論とは別個の対応であり、両者の因果関係を示すものではありません。 なお本ページのナフサの生産・在庫は政府統計(経済産業省)に基づくため、この民間統計の見合わせによる影響はありません。
輸入はどこから来ているか(相手国の分散度)
供給の安定は「輸入が続くか」に大きく左右されます。輸入先が特定地域に偏っているほど、 その地域の情勢に影響されやすくなります(2026-03 分・確報)。
上位3か国で約 61%、中東諸国で約 65% を占めます。 輸入先は中東に偏っており、調達先の集中はこの品目の構造的な特徴です。
直近12か月の数値(ナフサ計)
| 月 | 生産 | 月末在庫 | 受入 | 出荷 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-04 | 906,660 | 914,965 | — | — |
| 2026-03 | 998,953 | 935,495 | — | — |
| 2026-02 | 1,233,122 | 1,128,293 | — | — |
| 2026-01 | 1,344,489 | 1,018,363 | — | — |
| 2025-12 | 1,291,261 | 1,189,209 | — | — |
| 2025-11 | 1,164,848 | 1,137,397 | — | — |
| 2025-10 | 1,157,343 | 1,161,058 | — | — |
| 2025-09 | 1,078,030 | 1,121,365 | — | — |
| 2025-08 | 1,112,791 | 1,120,476 | — | — |
| 2025-07 | 1,019,960 | 1,103,920 | — | — |
| 2025-06 | 1,010,931 | 1,132,278 | — | — |
| 2025-05 | 1,008,575 | 1,156,329 | — | — |
単位: kl(キロリットル)
ナフサとは・統計の見方
ナフサは原油を蒸留して得られる軽質な石油製品で、ガソリンの基材になるほか、エチレンなど石油化学製品の 基礎原料となります。本ページの区分は次の2つです。
- 石油化学用ナフサ — エチレンセンター等で分解され、プラスチック・合成樹脂などの原料になります。
- その他用ナフサ — ガソリン基材や都市ガス用など、石油化学用以外の用途。
各指標の意味は、生産=製油所での製造量、受入=輸入や他事業所からの受入、 出荷=販売・転送等の払出、月末在庫=月末時点の在庫量です。
在庫と供給は十分か(データからの考察)
「ナフサの在庫や供給は足りているのか」という観点で、掲載データから読み取れる範囲を整理します。 以下はあくまで公表統計の数値にもとづく一般的な状況整理であり、将来の需給や価格を予測・保証するものではありません。
- 在庫水準は安定的なレンジ内:月末在庫(ナフサ計)は 2021-01 以降、 おおむね 80万〜127万 kl の範囲で推移し、平均は約 107万 kl です。 最新(2026-04)は約 91万 kl で、 平均を約14%下回る水準ですが、過去のレンジ内に収まっています。 極端な積み増し・取り崩しは見られません。
- これは「運用在庫」:ここでの在庫は製油所の製品在庫で、月間の出荷量(過去実績の平均で約 288万 kl)に対しおおむね10日分に相当します。 ナフサは回転の速い原料で、これは日々の生産・出荷をまわすための在庫であり、長期の備蓄量を表すものではありません。
- 供給は需要をやや上回って推移:受入・出荷が揃う 2021-01〜2024-12 の集計では、 供給(生産+受入)が需要(出荷)を約 3.2% 上回り、その分が在庫の微増につながっています。 需要に供給が追いつかない、という状況は確認できません。
- 供給は輸入依存度が高い(構造的特徴):集計期間では、出荷量の約 64% に相当する量を輸入を含む受入でまかなっており、国内生産がまかなう割合は約 39% です。 ナフサは石油化学の基礎原料でありながら、相当部分を海外からの調達に頼る構造で、 為替・海上輸送・産油国情勢などの外部要因の影響を受けやすい品目です。
- 本データの範囲:ここで扱うのは製油所等の製品在庫であり、国家備蓄(主に原油)は別枠です。 エネルギー安全保障全体を評価するには、原油備蓄やLPG備蓄など他の指標もあわせて確認する必要があります。
今、需要に供給は足りているか
上の3つの指標を合わせて見ると、現時点では「需要に対して供給が足りている」と読み取れます。
- 供給と需要はほぼ釣り合って推移:供給(生産+輸入)と需要(国内向販売+輸出)の差は月ごとに小幅で、需要に供給が追いつかない一方的な状況は見られません。
- 在庫日数は安定したレンジ:在庫は需要の約 14.1 日分(直近)で、過去の範囲を大きく外れていません。急速に取り崩されている動きはありません。
- 価格に逼迫の急騰サインは限定的:輸入価格は資源高の局面で上下するものの、需給の極端な逼迫を示す一方的な高騰は確認できません(※価格データは 2026-04 分まで)。
「今後も満たせるか」は、このデータだけでは判断できない
一方で、「将来にわたって需要を満たせるか」は、過去〜現在の在庫・供給データだけでは判断できません。 これは見通し(予測)の領域で、次のような追加の情報が必要です。本ページでは順次拡充していきます。
- 供給余力:製油所の精製能力・稼働率、エチレン設備の能力。日本は製油所の統廃合で能力が縮小する傾向にあり、国内供給力の動向が将来の鍵になります。
- 需要の構造変化:石油化学需要は国内人口減や脱炭素の影響を受けます。需要そのものが縮小していく可能性も含めて見る必要があります。
- 輸入の継続性:ナフサは輸入依存度が高く、しかも輸入先は中東に約65%(上位3か国で約61%)と集中しています。調達先の分散度・地政学・海上輸送・為替の影響を受けやすい構造です。
- 備蓄:国家備蓄は主に原油で別枠です。安全保障の評価には原油備蓄等もあわせて見る必要があります。
まとめると、「現時点で需要に供給は足りており、統計上の逼迫の兆候は見られない」ところまでは言えますが、 「今後も継続して満たせるか」は、供給能力・需要トレンド・輸入環境などをあわせて見て初めて評価できる、 というのが本ページの立場です。将来の需給・価格を予測・保証するものではありません。
ご利用にあたって(免責事項)
- 本ページの数値・考察は、公的統計をもとにした参考情報です。正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。
- 統計には公表までの時間差や、速報値・確報値の差異・改定があります。一次情報は必ず出典元(下記)でご確認ください。
- 本ページは投資判断・取引・事業上の意思決定の根拠として用いることを想定していません。これらの判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
- 本ページの情報の利用によって生じたいかなる損害についても、当方は責任を負いかねます。
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat) 経済産業省生産動態統計調査・石油輸入価格 / 経済産業省 石油統計速報・確報 / 財務省 貿易統計 を加工して作成(e-Stat、 経済産業省 石油統計)。正確な値は各出典元の公表データをご確認ください。
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